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それぞれの道具「道具と出合う、本の中へ」 2 ”テーブルの上”

2014.11.24

中澤 季絵

中澤季絵(なかざわ・きえ)イラストレーター/絵描き  絵で暮らしをいろどる楽しさを軸に幅広く活動中。理科系出身、生き物がとてもすきです。脇役蒐集人。このページでは、本の中の道具を描き連載中。 www.kienoe.com

 テーブルの上

 

「バベットの手でテーブルの中央にろうそくが一列に並べてあった。
小さな明るい炎が、黒い上着とドレス、それにただひとつの緋色の軍服に輝き、潤んだ目に映っていた。」

『バベットの晩餐会』イサク・ディネーセン作 桝田啓介訳 ちくま文庫より

 

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誰かと一緒においしいものを食べるとき、
自分のなかの小さなトゲや隣の人との境界線がゆっくりと溶けていく。
いつかの、かけがえのない食事の記憶がよみがえってきた。

料理をする人にとっても、招待された人にとっても
たった一度の特別な食事。

この本のなかに描かれていた、研ぎ澄まされて、そのうえ
とびきりやさしい時間のことを目が覚めたあとも覚えている。

 

 

 

 

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