ジロリのごあいさつ 2
2014.11.18
ジロリ。保立葉菜、竹上妙、山口あきによる版画ユニット。木版画、銅版画でそれぞれの個性を活かした作品を作る。2015年1月にSBBで行われる「本屋でジロリ ごあいさつ」展までの記録をバトン形式で連載中。
<ジロリのごあいさつ 2>Text by 竹上妙
ジロリの2人目、竹上妙です。よろしくお願いいたします。
コラムって何を書けばいいんだ?とおもって調べてみたら
何を書いても良いものだという事がわかり、安心しました。
今回は私がいつもどんなテーマで制作しているのかを少し書きます。
油性木版で制作をしています。
彫って刷って、彫って刷っての「彫り進め式」の木版画です。
版板を彫って刷って、その版をまたさらに彫って刷ってという感じで進めるので
絵を描く感覚でザックザックと勢いをつけてやっています。
テーマは「見たら 見られた」
外に出ると「わざわざ見たいもの」「たまたま見えたもの」が自分の目に次々と入ってきます。
動物でも人間でも植物でもあらゆる対象のモノに、ふと、気がつき、
気がつかれ目が合う瞬間があります。
「あ、見たら見られた。」
そのとき「ハッ」として「ドキっ」とします。そして一度目をそらしてしまいます。挙動が不審です。
でもその瞬間が面白くて色々なところに行って「見たら見られた」を収穫し、
そのときのメモとスケッチを元にして版画を制作するようにしています。
行ってみて、見てみて、見られてみる。ということが私の中でとても大事なものなのです。
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「見たら見られた〜ハッと気がつく〜」
ドバトはあまり好きではありません。
色、動き、目の色、どかないくせに近寄ると
急に飛び立つ動き方。
でも怖いもの見たさで気がつけば
目で追っています。
ふとその先に目をやると野良猫が
ドバトと私を見ていました。
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「くまの時間」
見たら見られた。
確実に体験できるだろうと思い多摩動物公園に行きました。
ターゲットはヒグマ。
ワクワクしながら鉛筆と紙を片手にヒグマゾーンへ向かいました。
ヒグマは両手を前に組んでその手をただ見つめています。
私は咳払いをしてみたり、口笛を吹いてみたりしましたが
ヒグマはこっちを向きません。
動物ならば気配を感じたらこっちを見てよ。と最初は思いましたが
いや、これはこれで面白い。
ヒグマのそんな時間を私は結構長い間見ていました。
【プロフィール】
竹上妙 Mokuhanger
1986年東京生まれ
2008年和光大学表現学部芸術学科卒業
2008年より個展、グループ展を中心に活動。
受賞歴
第32回 全国大学版画展【観客賞受賞】「見たら見られた〜牛〜」
第7回 熊谷守一大賞展【佳作受賞】「見たら見られた〜モンゴルの遊牧〜」
第8回 熊谷守一大賞展【奨励賞受賞】「見たら見られた〜人間をつなぐ〜」
第9回 熊谷守一大賞展【入選】「見たら見られた〜雨が降って来た〜」
website
http://takegami-tae-hanga.jimdo.com/
tumblr
http://okantea.tumblr.com/