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kami no kakera 3

2015.07.31

takahiro murahashi

村橋貴博/アーティスト。2人組のアートプロジェクトguse ars(グセアルス)として活動。浜辺に漂着した陶片を表現素材として、展示やデザイン、本の制作などを行う。個人名義では、コラージュ技法を中心とした作品発表を行う。SBBに常設の商品棚を設置中。 http://guse-ars.com

kami no kakera 3

「素材のこと」

コラージュの素材は
特に決めているものがあるわけではない
ただ、選ぶ素材には好みが自然と強く表れるので
決まっているとも言える

石や鉱物の質感
手で描かれた有機的な線
名画のテクスチャ
装飾的な柱や脚

何となくこんなものには敏感だ

ただ、いざ作品作りになると
その時のチャンネルに合致したものだけがピックアップされる
その他はいらなくなる
紙くずになる

自分のチャンネルを切り替えると
そのいらなかったものが
一番欲しいものに変わる
紙くずから昇格する

例えば1冊の本から素材を集めるとき
チャンネルを切り替えながら
ページを何往復もする

さっきは見えていなかった
灰色の形をみつける
物の余白の形をみつける
切り取られた四角の中に表れる新しい模様をみつける

後のページに繋げる為に今のページがある
その前のページも
その後のページも同様に…

本としていらないページが無いように
素材としてもいらないところなんて
ほとんど無いのかもしれない

すべてが素材
どう料理するか

いつか1冊の本を譲り受け
新たな1冊の本を
生み出すことをやってみようと思う

視覚的な要素を受け継いだ
本の子どもは
読めなくとも、その内容までも遺伝した
本になるかもしれない

ストーリーがデザインになり
デザインにまた、ストーリーがつく
そんなことになるかもしれない

読み切るための本との出逢いを
楽しみにしている

 

tm03

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