Writer:ヒロイヨミ 社
ヒロイヨミ社。山元伸子によるリトルプレス。言葉を読むための新しいかたちを求めて、紙や印刷にこだわった冊子などを製作・発行。2014年12月にSBBで始まる展示フェアに向けた創作日記を連載中。
ヒロイヨミ社のわたし 4
2014.12.19
いちばん古い本屋の記憶を手繰ってみた。あれは小学生のころ。生まれ育った富山県高岡市、駅の近くに文苑堂書店という本屋があった。今もある。そこで、父に何か一冊買ってやる、といわれ、書棚の前で逡巡していた。江戸…
ヒロイヨミ社のわたし 3
2014.10.17
あたかも印刷機が差し延べる鏡に映し出されでもしたかのようなかたちでそこに著者の精神が覗かれる。紙とインクが調和し、活字が鮮明で、構成に気が配られ、行揃いも完璧で、そして刷り上りも見事であるときは、自分の言葉…
ヒロイヨミ社のわたし 2
2014.09.29
あるひとが、電車で本を読んでいた。気づかれないように、誰かの背中ごしに、すこし離れたところから、じっと見ていた。文字を追うしずかな眼差し。ページをめくるしなやかな指。長い前髪は黒いベールのよう。それは特別…
ヒロイヨミ社のわたし 1
2014.09.10
9月のある日。ぽっと赤らんだ少女の頬のような、子どものおしりのような、かわいらしい桃を、そっとつかんで、皮をむいて、まるごと食べた。甘い汁が、口からも指からも滴る。気にせず、けだもののように食べる。食べお…