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フロム・ファースト・センテンス issue0

2015.12.14

阿部 海太

阿部海太 / 絵描き、絵本描き。 1986年生まれ。 本のインディペンデント・レーベル「Kite」所属。 著書に『みち』(リトルモア 2016年刊)、『みずのこどもたち』(佼成出版社 2017年刊)、『めざめる』(あかね書房 2017年刊)、共著に『はじまりが見える 世界の神話』(創元社 2018年刊)。 本の書き出しだけを読み、そこから見える景色を描く「フロム・ファースト・センテンス2」を連載中。 kaita-abe.com / kitebooks.info

本の書き出しとはまるで顔のようなものかもしれない。
カバーに描かれた挿画は顔ではない。挿画はたぶん服のようなもの。
ちょっと離れたところから見て、派手だなとか、洒落てるなとか。
書き出しの1行、あるいは1段を読んで初めて読者はその本がどんな顔をしているのか伺う。
でも、その顔にはっきりとした印象や感情を見て取ることは難しい。
いきなり知らない人に向かって相好を崩したり、泣きついたりしないのは本とて同じ。
しかし一見捉えどころの無いその顔には、僅かなニュアンスと淡い予兆が見え隠れしている。

この先、この顔はどんな表情を見せ、その口は何を語り出すのだろう。

コラム「フロム・ファースト・センテンス」では、
店主に選んでいただいたある本の「書き出し」をもとに絵を描きます。
僕はそれが何の本かは全く知らないで、「書き出し」だけを読みます。
その本に何が書かれているかを予想するゲームではなく、
だだ本の顔だけをじっと見て、その目に映っている景色を描いてみようと思います。

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